FDE思考とは?非エンジニアが現場の業務を自動化する4つの手順

FDE思考とは?非エンジニアが現場の業務を自動化する4つの手順

この記事の要点

  1. 01FDE(Forward Deployed Engineer)は、顧客の業務の現場に入り込み、課題の特定から仕組みの定着までを担うエンジニアです。
  2. 02生成AIやノーコードで簡単な仕組みを作れるようになり、成否を分けるのは「何を作るか」を現場で見極める力になりました。
  3. 03社内の人は現場の情報を最初から持っていますが、慣れた作業の手間は見えにくいため、外の目で見直す姿勢が要ります。
  4. 04FDEの考え方は、現場に入る、課題を自分で特定する、小さく作って現場で試す、回しながら直す、の4つの手順で業務改善に取り入れられます。
  5. 05非エンジニアが自分で作るのは、1つの部署で完結し、止まっても手作業に戻せる業務までにします。
目次
  1. FDE(フォワード・デプロイド・エンジニア)とは何か
  2. なぜ、非エンジニアにもFDEの考え方が役立つのか
  3. FDEの考え方で、業務の自動化をどう進めるのか
  4. 1. 現場に入る
  5. 2. 課題を自分で特定する
  6. 3. 小さく作って、現場で試す
  7. 4. 回しながら直す
  8. 非エンジニアが自分で作るのは、どこまでか
  9. まとめ

FDE(Forward Deployed Engineer)とは、顧客の業務の現場に入り込み、課題の特定から仕組みの定着までを担うエンジニアです。この考え方は、プログラムを書かない社長や管理職にも使えます。

FDE(フォワード・デプロイド・エンジニア)とは何か

FDEは、1つの顧客に深く入り込んで仕組みを作るエンジニアです。データ分析ソフトウェアのPalantirは、この職種を社内で「Delta」と呼びます。開発職が「1つの機能を多くの顧客に」届けるのに対し、FDEは「1つの顧客のために多くの機能を」組み合わせると説明しています。

この職種は、生成AIを開発する企業も設けています。OpenAIは、試作から本番の安定稼働までを担い、うまくいった型を道具や手順書にまとめる役割と説明しています。Anthropicは、顧客の中に入り込み、Claudeで業務アプリを作る役割としています。

観点製品を作る開発職FDE
向き合う相手多くの顧客1つの顧客
仕事の起点製品の機能顧客の現場の課題
目指す成果多くの顧客が使える機能顧客の業務で使われ、目標に効く仕組み

※ Palantirの公式ブログと、OpenAI・Anthropicの採用ページの説明をもとに整理しています。

なぜ、非エンジニアにもFDEの考え方が役立つのか

作る手段が身近になり、成否を分けるのが「何を作るか」の見極めに移ったからです。生成AIやノーコードツールを使えば、定型文の下書きや転記の自動化といった簡単な仕組みは、社内の人でも作れます。一方で、課題を取り違えて作った仕組みは、早く作れても使われません。

見極めに必要な情報の多くは、現場にあります。例外的な処理や、どのファイルが最新かといったことは、打ち合わせにはなかなか出てきません。社内の人は、外部のエンジニアが時間をかけて集めるこの情報を、最初から手にしています。ただし、毎日の作業は慣れるほど手間として意識されにくくなります。社内の人こそ、FDEのように外の目で現場を見直す必要があります。

この考え方は、自分で作るときと外部に依頼するときの両方に役立ちます。

  • 自分で作るとき:課題を絞ってから作るので、使われない仕組みを作らずに済みます。
  • 外部に依頼するとき:特定した課題と現場の作業時間を渡せるので、要件が伝わりやすくなります。

FDEの考え方で、業務の自動化をどう進めるのか

次の4つの手順で進め、4まで進んだら1に戻ります。

FDEの考え方で業務を改善する4つの手順を、円環で示した図
1回で終わらせず、現場で試しながら回し続ける

1. 現場に入る

話を聞くだけでなく、作業を横で見せてもらいます。評価のためではなく手間を減らすためだと、先に伝えておきます。可能なら、自分でも一度やってみます。「探す」手間は、説明では省かれがちです。聞き方の基本は「社内DXの始め方|業務ヒアリングで社員に最初に聞くこと」で紹介しています。

2. 課題を自分で特定する

現場の困りごとを、そのまま課題にしません。作業時間を「作る」「探す」「転記する」「待つ」に分けると、手間の集中する箇所が見えます。原因は道具より、作業の流れにあることが少なくありません。

観察した作業を、作る・探す・転記・待つの4つに分けて時間を記録したスプレッドシート
作業時間を区分ごとに合計すると、手間の集中している箇所が見える

3. 小さく作って、現場で試す

最初の仕組みは、1つの業務、少人数、短い期間に絞ります。定型文の下書きや転記の自動化といった規模で十分です。完成を待たず、動く試作の段階で現場に使ってもらいます。

4. 回しながら直す

使い始めたら、使われているか、手間が減ったかを現場で確かめます。2で記録した作業時間と比べれば、効果を数字で示せます。繰り返し出る作業は手順書にまとめ、ほかの業務に広げます。定着のさせ方は「業務システムが定着しない・現場で使われないのはなぜ?」で解説しています。 開発スピードがAIによって上がったことで、従来のウォーターフォール型ではなく、アジャイル型の開発フローがより合うようになりました。

非エンジニアが自分で作るのは、どこまでか

自分で作ってよいのは、1つの部署で完結し、止まっても手作業に戻せる業務までです。

自分で試してよい専門家に相談する
社内向けの定型文の下書き顧客の個人情報を扱う仕組み
1部署内の転記や集計の自動化支払いや請求など、お金が動く処理
少人数で使う入力画面複数の部署やシステムをつなぐ連携

※ 線引きの例です。

社内で決めておく生成AIの使い方は「生成AIの社内ルールは何を決める?」、自作の仕組みに潜むリスクは「バイブコーディングのリスクとは?」で解説しています。

まとめ

  • 作る手段が身近になり、非エンジニアにも「何を作るか」を見極める力が求められています。
  • 進め方は、現場に入る、課題を自分で特定する、小さく作って試す、回しながら直す、の4つです。
  • 自分で作るのは、止まっても手作業に戻せる業務までにします。

まずは業務を1つ選び、担当者の横で一度、作業を見せてもらうところから始めてください。

よくある質問

FDEとITコンサルタントは何が違いますか。

Palantirは、FDEは分析や提案で終わらず、顧客と一緒に長く使える仕組みを作る点がコンサルタントと違うと説明しています。現場に入り、自分で手を動かして作り、使われるところまで見届けるのが特徴です。

プログラミングができなくても、FDEの考え方は使えますか。

使えます。現場に入って課題を特定し、小さく試して直すという進め方は、生成AIやノーコードツール、表計算の関数でも実践できます。大切なのは、作る前に現場で課題を見極めることです。

最初にどの業務から始めればよいですか。

1つの部署で完結し、止まっても手作業に戻せる業務から始めます。作業時間を区分ごとに記録し、「探す」「待つ」の時間が長い業務を選ぶと、効果が見えやすくなります。

自分で作った仕組みを、そのまま全社に広げてもよいですか。

個人情報やお金を扱う場合や、複数の部署にまたがる場合は、広げる前に専門家に相談してください。作った人しか直せない状態を避けるため、何をどこに作り、誰が管理するかも記録しておきます。

参考資料

  1. Dev versus Delta: Demystifying engineering roles at Palantir|Palantir Blog
  2. Who Wants to be a Delta?|Palantir Blog
  3. Forward Deployedの求人一覧|OpenAI Careers
  4. Open roles|Anthropic Careers

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山本 一成株式会社GOIT 代表取締役

2001年生まれ、21歳で起業、明治大学大学院修了(MBA)。税理士試験合格。Flutter/Python歴5年、kintone有資格者。バックオフィス・税理士事務所のDXに強み。業務整理・設計からシステム開発、現場導入まで、中小企業のDXを一気通貫で支援している。